トランプ大統領の未来を予言する映画「デッド・ゾーン」

映画鑑賞文
クリストファー・ウォーケン

1983年に制作されたクリストファー・ウォーケン主演のアメリカ映画「デッド・ゾーン」は、トランプ大統領の未来を予言する映画としてアメリカで話題となっている。2016年トランプ氏が大統領就任した際話題となった映画であるが、今またトランプ氏が大統領就任予定となっており、話題になる映画と思われるのでストーリーを紹介する。

ジョニー

ジョニー(クリストファー・ウォーケン)は小学校教師である。同じ小学校に勤務する同僚サラが恋人であり、結婚予定であった。雨の降る夜、サラとのデートの帰りに一人で車を運転していて、見通しの悪い道路にあった事故車両の発見が遅れ衝突してジョニーは昏睡状態となった。ジョニーが昏睡状態にあった間サラは別の男性と結婚していた。

予見能力

5年間昏睡状態のジョニーに、医師は昏睡から覚める強い薬を使った。ジョニーは昏睡状態から覚め、意識が戻った。昏睡から覚める薬の影響なのか、ジョニーは手を触れた人の未来が見えるようになった。

病院の看護師の手を握ったところ、看護師の娘が火事になった家で助けを求めている映像が見えて、看護師が家に急行したところ、間一髪で娘を救出できた。ジョニーの予見能力はマスコミにも取り上げられ、地域では有名な超能力として知られるようになった。

連続殺人事件

ジョニーが昏睡していた5年間に、地域では若い女性を狙った殺人事件が9件発生していた。保安官はジョニーの予見能力を事件解決に役立ててもらいたい、とジョニーに協力を要請した。事件発生の現場でジョニーは、犯人が被害者を待ち伏せして展望台の中で被害者を殺す映像を見た。犯人の顔も映像の中で確認でき、それは保安官と一緒にいた保安官助手であった。

保安官とジョニーは現場からいなくなった保安官助手の家に行き助手の部屋に入ったところ、助手は鋏で喉を突いて自殺していた。助手の母は助手を追い詰めたジョニーに対して拳銃を発砲した。ジョニーは重症を負い、母は保安官によって射殺された。

家庭教師

ジョニーは世間から隠れるように家庭教師をしながら静かに暮らしていた。子供の勉強を自宅で教えながら外出しないようにしていた。

ある富豪の息子が引きこもりになり、富豪から息子の家庭教師を頼まれ引き受けた。富豪の家で家庭教師をしているときドアのチャイムが鳴り出たところ、上院議員選挙立候補者クレグ・スティルトンの選挙運動員の男性であった。男性運動員はスティルトンに投票を呼びかけ、道路にいた女性運動員も遅れてジョニーのいる家に来た。女性はサラであった。サラはジョニーに夫を紹介し、投票を呼び掛けて帰った。ジョニーは溢れる涙を抑えられず、家庭教師をしている子供を抱きしめて泣くのだった。

新聞社

ある新聞社の代表はクレグ・スティルトンの政治的スキャンダルを新聞で発表する予定であった。この代表に対してクレグ・スティルトンは代表と女性とのスキャンダル写真を提示して、記事の差し止めを要求した。代表は記事の発表を控えざるを得なくなった。

クレグ・スティルトンは代表を罠にかけて女性とのスキャンダル写真を撮影させていた。

選挙集会

ジョニーはサラに会えると思い、クレグ・スティルトンの選挙集会に来た。集会には多数の人が集まり、スティルトンは次々と集会に集まった人と握手していた。ジョニーがスティルトンと握手したとき、スティルトンが大統領に就任して核ミサイルの発射ボタンを押す映像が見えた。

スティルトンは上院議員に進出して大統領を狙っている野心家であったが、強引な行政手腕は批判も多かった。対社会主義国政策でも頻繁に過激な発言を発していた。

狙撃

ジョニーはスティルトンの強引な政治手腕や過激な発言をメディアで見る度に、ナチスドイツのヒトラーを連想していた。スティルトンが大統領に就任すれば世界の終わりになると思い、スティルトンを殺す決心をした。

ライフル銃を持って前日からスティルトンの演説会場に潜み、狙撃の機会を狙っていた。スティルトンが演壇に立ったところで、ジョニーは立ち上がってライフル銃をスティルトンに向けたが、演壇の横にいたサラが驚いて「ジョニー」と叫んだ。ジョニーはサラを見て驚き手元が狂ってライフルの弾ははずれた。

スティルトンはサラの乳飲み子を抱き上げ、自分の前に掲げて乳飲み子を盾とした。この行為をマスコミのカメラマンが撮影していた。ジョニーが狙撃を躊躇っているとき、SPがジョニーを狙撃してジョニーは2階席から床に転落した。瀕死のジョニーに対してスティルトンが近づき、罵りの言葉を吐き捨てた。スティルトンの手を握ったジョニーは、スティルトンが乳飲み子を盾にした写真が週刊誌に掲載されたことで世間の批判を浴び、社会的地位を失ったスティルトンが自殺する映像を見た。ジョニーは満足げな微笑みを浮かべてスティルトンを見ていた。

サラはジョニーに近づき、ジョニーの上体を起こし「ジョニー」と呼びかけた。ジョニーはサラに「愛してる」と言って息絶えた。

ジョニーは、スティルトンが核ミサイルの発射ボタンを押す未来を見て、一人でスティルトンを殺そうとする。周囲の人々にとってジョニーはテロリストである。誰もジョニーが世界を救おうとしていることは分からない。ジョニーの孤独な闘いは誰にも分かってもらえず、テロリストの烙印を押されたまま死んでしまうことは末代までの不名誉である。

ジョニーは世界を救った英雄である。歴史の中ではテロリストであるが英雄である。トランプ大統領が2016年に大統領に就任した際、この映画がアメリカ国内で話題となった。スティルトンとトランプ大統領が似ているからである。スティルトンは過激な発言で物議を醸し、横暴な行政手腕はトランプ大統領を思い起させる。映画ではスティルトンがジョニーによって狙撃されるが、間一髪で助かる。本年7月にペンシルベニア州でトランプ氏が狙撃され、銃弾がトランプ氏の耳をかすめたテロ事件があった。映画と同じようなことが起こっている。ジョニーのような英雄が出てこないことを祈るのみである。

映画「デッド・ゾーン」

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