素数はバラけていない

素数

10以下の素数は2、3、5、7の4個ある。100以下の素数は25個、1,000以下の素数は168個、10,000以下の素数は1,229個、100,000以下の素数は9,592個ある。素数の存在確率は40%、25%、16%、12%、9%とどんどん低下してゆく。では、莫大に大きな数になると素数の間隔は離れてゆき、素数はバラけてしまうのか。そんなことはない、ということが2014年に発見された。

600ブロック定理

2014年、アメリカ・カリフォルニア大学のテレンス・タオ教授(当時38歳)とカナダ・モントリオール大学のジェイムズ・メイナード博士(当時26歳)が、それぞれ独自に次の定理を発見した。

600ブロック定理

自然数を600ごとのブロックに区切ると、素数が2個含まれるブロックは無限にある。一つのブロックに必ず素数が2個含まれるわけではないが、素数が2個含まれるブロックは無限にある。

自然数を395,122ごとのブロックに区切ると、素数が3個含まれるブロックは無限にある、という定理は証明されていた。2014年の定理は素数が2個含まれる区間の幅が600と大きく絞り込まれ、素数分布の解明に大きく貢献する定理である。

双子素数

3と5、11と13、107と109のように連続する2つの奇数が2つとも素数のとき双子素数と呼ばれる。双子素数は無限にあるのか有限個なのかは現在未解明である。しかし、双子素数の逆数の和

(1/3+1/5) + (1/5+1/7) + (1/11+1/13) + (1/17+1/19) + ・・・

は収束することが分かっている。この和はブルン定数と呼ばれ、その値は約1.9である。

双子素数が有限個なのか無限なのか判明していないのに、その逆数の和が収束しているという奇妙な素数である。逆数の和が発散していれば双子素数は無限にあることが判明していたのであるが、収束しているため双子素数が有限個か無限か現在まで未解明である。

今後の研究によりブロックの幅が600から100、更に50などと狭くなっていくことが予想される。もしも、ブロックの幅が4まで狭まったなら双子素数問題は解決する。自然数を4ごとのブロックに区切ったとき、2つの素数を含むブロックが無限にある、ということは双子素数が無限にあるということだからである。素数に関する主要未解決問題が一つ解決することとなる。

ちなみに、3、5、7のように連続する3つの奇数が3つとも素数のとき三つ子素数と呼ばれている。三つ子素数は3、5、7だけである。これ以外に三つ子素数はない。

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