なまはげ太鼓の魅力

郷土芸能

なまはげ

秋田県男鹿市では、大晦日の夜に「なまはげ」と言われる鬼の面を被った若者が、「ウオー、泣く子はいねがー、怠け者はいねがー」と町内の家々を訪問し家人のもてなしを受ける風習がある。なまはげの訪問は一年の厄落としの意味を持ち、なまはげの身に纏った藁の衣装の藁くずを拾えば翌年は息災に過ごせる、と言われている。

なまはげが子どもを抱き上げて「親の言うこと聞いてらがー」とすごむと、殆どの子どもは怖がって泣いてしまう。なまはげは荒ぶる神であり、なまはげに抱かれた子は健やかに育つ、と言われている。

男鹿市入口のなまはげ像

五風

男鹿市北浦には男鹿温泉郷があり、セイコーグランドホテル、男鹿温泉ホテルなど約10軒のホテルが軒を並べている。ホテル群の一角に男鹿温泉郷交流会館「五風」がある。小学校の体育館ほどの大きさの建物であり、ステージを備えた興行施設である。

なまはげ

毎年4月下旬から11月まで、毎土曜日夜8時30分からなまはげ太鼓の演奏を披露している。地元なまはげ太鼓演奏集団「恩荷」(おんが)による壮烈な太鼓演奏を味わうことができる。

なまはげ太鼓

なまはげ太鼓は、男鹿のなまはげ風習と和太鼓を掛け合わせた勇壮な和太鼓演奏である。なまはげの面を被った若者集団が和太鼓を演奏し、演奏中なまはげが観客席に降りてゆき観客になまはげの姿を間近に見せたり、子どもを抱き上げて「親の言うこと聞いてらがー」とすごんだりするものである。

なまはげ

1月27日、なまはげ紫灯祭りのイベントでなまはげ太鼓の演奏がある、との新聞記事を見て演奏を聞きに行った。入場料500円を支払って五風に入ると、約100席の椅子が置かれ10人ほどの観客がいた。開始時間が迫ってくると続々と観客が入って来て80人位の観客となった。

神事

最初神主が現れ神棚に祝詞を捧げ、次いで観客席に向かってお祓いをし観客の無事息災を祈願した。そして神主が2人の若者になまはげの面を授け、2人のなまはげが約5分間なまはげの舞を披露した。

民謡

次は民謡であった。女性歌手2人と三味線1人で、秋田節、秋田船方節など民謡を4曲披露した。若い女性歌手の伸びやかな歌声は、普段から民謡を歌って十分な練習を積んでいるものと感じられた。民謡の歌声と三味線の音が丁度良いバランスで、聴きごたえがあった。

なまはげ太鼓

なまはげ太鼓

いよいよなまはげ太鼓である。なまはげ5人、女性2人が太鼓6台、銅鑼1台で演奏を披露した。太鼓6台の勇壮な演奏と合いの手の銅鑼の音が地響きを伴って伝わってきた。迫力ある太鼓演奏が続き、なまはげが髪を振り乱して太鼓を演奏した。

なまはげが観客席に降りて観客に対して間近に姿を見せ、子どもを抱き上げて「親のいう事聞いてらがー」とすごんだりすると泣き出す子どももいた。5人のなまはげが観客席にいる間、2人の女性の太鼓演奏と銅鑼が続いている。

和太鼓独特のリズムが流れる中、腹の底に響くような振動が体を突き抜けていた。なまはげがステージに戻り、ポーズを取って観客に対して「シャッターチャンスだど」と写真撮影のチャンスをアピールしていた。

7人全員の演奏が再開し、迫力ある和太鼓が約10分続いた。なまはげの勇壮なバチ捌きが荒々しさを伴って伝わってきた。5人のなまはげと2人の女性の息もピッタリ合っており、音楽的にも視覚的にも郷土芸能の持つ独特の魅力を感じた一夜であった。

なまはげ太鼓の演奏

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