1910年の人類滅亡騒ぎ

宇宙開発

ハレ―彗星

ハレー彗星は太陽の周囲を楕円軌道を描いて公転し、周期は約76年である。その大きさは直径約10~40キロである。76年ごとに地球に最接近して、遠ざかってゆく。ハレー彗星は塵や氷でできており、太陽と反対側に太陽の熱で出た水蒸気やガスが発生している。この水蒸気などがハレー彗星の尻尾のように見え、全体としてほうきみたいな形からほうき星と呼ばれている。

ハレー彗星のイメージ

人類死滅説

1910年、フランスの天文学者カミーユ・フラマリオンが

ハレー彗星が地球に最接近した時、彗星は太陽と地球の間に位置し、尻尾が太陽と反対側にある地球を覆う。尻尾の中の水素が地球の酸素と結合して酸素が無くなり、人類は死滅する。

と発表した。

当時は各国で新聞が創刊されており、日本でも朝日新聞、読売新聞などが創立され新聞が発行されていた。フラマリオンの発表は新聞に掲載され、またたく間に新聞を媒体として世界中に拡散した。

パニック

人々はフラマリオンの人類死滅説を新聞で読んでパニックとなった。ハレー彗星が地球に最接近した間だけ酸素が無くても生きられるような方法を考えた。自転車のタイヤのチューブを大量に購入しチューブの中の空気を吸って生きようとしたり、洗面器の中に水を入れて顔を突っ込み息を止めていられる時間を長くしようとしたり、ヨーロッパでは大量のガスマスクが売れたりした。

茨城県では住民が仕事を休んで、赤飯を焚いて七社詣でをして祈願することに対して地元警察署長が諫める事案が発生した。

韓国では人類滅亡の記事を目にした人々が遊興に耽ったり、フランスのギョルン市の住民は一般業務を休んでカーニバルを開催して祈祷した事案が発生していた。

世界中の人々があの手この手でハレー彗星が地球に最接近する間、無酸素で生きられる方法を実践するなどのパニックが起こっていた。

しかし、実際にハレー彗星が地球に接近しても何も起こらず、酸素が無くなるとか人類が死滅することはなかった。ハレー彗星は76年ごとに地球に接近しているのであるから、もし接近の際酸素が無くなり人類が死滅するとすれば、76年前にも152年前にも酸素が無くなって人類が死滅しているはずである。そう考えれば人類が死滅するなどあり得ない話であるが、フラマリオンの発表を真に受けた人々はパニックを起こしてしまった。

各国政府の対応

1910年の世界的パニックを契機として、各国政府・政府関係機関は人々がパニックを起こす可能性がある情報は秘匿するようになった。

  • アメリカ空軍研究機関であるエリア51では天文・宇宙の研究をしていて、エリア51には宇宙人の死体があり、宇宙人の体を研究している
  • NASAや航空研究施設で、地球に接近していて地球に衝突する可能性がある軌道を飛んでいる惑星・隕石の情報

など発表すれば人々がパニックをおこす可能性がある情報について発表を控えるようになった。

次のハレー彗星最接近

地球に接近するハレー彗星

最近、ハレー彗星が地球に最接近したのは1986年である。このときは人々がハレー彗星の地球接近を天体望遠鏡などで観測して天体ショーとして楽しんだ。ハレー彗星についての科学的解明が進んでおり、地球に最接近しても害はないと判明していたからだ。

次にハレー彗星が地球に最接近するのは2061年である。もし私が生きていれば109歳である。天体望遠鏡でハレー彗星を観測してみたいと思っている。

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