映画「吉原燃ゆ」を見て

映画鑑賞文

赤線

江戸時代から日本の各地には売春宿があり、売れっ子売春婦は花魁(おいらん)と言われていた。

昭和30年代には各都市に赤線と言われる政府公認の売春宿が乱立していた。赤線で働く女性たちは趣味と実益を兼ねて楽しんで働く女性もいたが、殆どの女性は借金返済のために泣く泣く働いていた。冷害や洪水などで稲が全滅すれば農家の人は1年間の収入が無くなり、借金をして生活しなければならなかった。その借金返済のために、娘を赤線に働かせに行かせた。赤線に行けばその日から、両親や兄弟姉妹とのどかに暮らしていた生活から、毎日何人もの見知らぬ男に抱かれて体を開き、精液を放出される生活となった。

映画「吉原燃ゆ」

名取裕子主演の「吉原燃ゆ」という映画があった。主人公は農家の娘であったが、ある年、冷害で稲が全滅した。家は1年間の生活費を借金して賄い、借金返済のために主人公が赤線で働くこととなった。

最初の客を取る日がやって来て、男に挿入されそうになると体を上にずらして挿入を拒んでしまった。何回も挿入を拒んでいたところ、客が店に文句を言った。店の若衆4人が主人公の両手両足を押さえ付けて、客が挿入を果たし射精した。客は「初物を戴いた」と喜び、その横で主人公は自分のこれからの地獄の毎日を思い泣き崩れるのだった。

赤線で働いて日にちが過ぎ、仲良しの同僚などもできたりした。店で働く女性たちは借金返済のため赤線に来ていた者が殆どであった。皆が毎日泣く泣く売春婦の仕事をしていた。主人公の母が主人公の着替えや食べ物などを持ってきたが、主人公に申し訳なくて店の人に着替えなどを置き、主人公に会わずに帰った。

ある同僚が借金を返済し終わる日がやって来た。主人公は同僚に「赤線を出たら親元に帰るんだろう」と聞いたところ、同僚は「私を売り飛ばした親元になんか帰るもんか」と言い、都会へ仕事を求めて旅立った。

映画は赤線で働く女性や店の毎日の営みなどを描いていた。そして、台所の火が原因の火事が発生し吉原遊郭街が瞬く間に燃え尽きてしまった。仕事場を失った主人公は新しい世界を求めて前を向いて歩いて行くのだった。

私はこの映画で赤線で働く女性たちの実態を知った。性行為が好きで、趣味と実益を兼ねて楽しんで働いている女性ばかりだ、と思っていた。

売春防止法

借金返済のために赤線で働く女性たちを救済するため、昭和33年売春防止法が施行された。対償を得て不特定多数と性交することが禁じられた。また、契約により売春させる行為、特定の住居に居住させて売春させる行為、売春の場所を提供する行為などが禁止されたのだ。

売春防止法の施行によって赤線などの売春宿はすべて廃業に追い込まれ、売春婦たちは解放された。赤線で働いていた女性たちはそれぞれの人生を歩くこととなった。

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