物語の幻想性と水野真紀の美しさが際立つドラマ「時の女神」

ドラマ鑑賞文

小学生時代

水野真紀

主人公は東京下町に暮らす小学生である。ある日学校からの下校途中、白いドレスを着た若い女性(水野真紀)と会った。女性は20歳代で、にこやかな表情で主人公を見ていた。知らない人だったので足早に過ぎ去り、ふと振り返ったところ女性は消えていた。

大学生時代

大学生になった主人公(柳葉敏郎)は恋人もでき、キャンパスライフを謳歌していた。大学の正門を出たところで、ふと人の気配を感じて振り返ったところ、小学生のとき見た白いドレスの女性が立っており、またもにこやかな表情で主人公を見ていた。

小学生のとき見た女性と同じ顔、同じ服であったが、あれから10年以上経っているのに年齢も同じ位であり、まるで年を取っていないように感じた。

タイムパラドックス

白いドレスの女性が頭から離れなくなり、恋人には興味が無くなってしまった。

社会人

主人公は大学を出て会社勤めをして働いていた。仕事で外回りしたときなど、白いドレスの女性を街角で探したりした。

雨の降る日に軒下で雨宿りしていたところ、白いドレスの女性も雨宿りしていた。その女性は探していた女性であった。なんとか話しかけてデートに漕ぎ付け、交際が始まった。

結婚

主人公は女性と結婚し、一緒に暮らすようになった。

ある日、主人公が出勤しようとしていて、妻は台所にいた。ふと台所を見ると妻がおらず、家の中を探したが妻はいなかった。間もなく妻は台所に姿を現し、ガーベラの花を一輪持っていた。花のことを聴いたところ、悲しそうな顔で「素敵な人から貰った」と言った。

数年後、夫婦には女の子が誕生した。

妻の死

妻は重い病気にかかり、病院に入院した。主人公は毎日見舞いに行き、いろいろ話をした。主人公は、「小学生と大学生のとき君を見た」と言ったところ、妻は「私は時を自由に行き来できる。未来にも過去にも行ける。あなたと結婚するため小学生のときと大学生のときのあなたに会いに行った」と言った。

主人公は妻の話が信じられず、小学生と大学生のとき見た女性は妻とよく似た別人だと思った。間もなく妻は病気が進んで、若くして亡くなった。主人公は男手一つで娘を育てることとなった。

見合いの勧め

主人公の娘は中学生となり、仕事をしながら家事と子育てに勤しんでいた。

職場の上司が見合いを勧めてきた。娘も中学生になり再婚にも理解を示してくれるだろう、と上司は考えたのだが、主人公はきっぱりと断った。上司は主人公が過ぎし日を見つめて生きていることを心配していた。

主人公は、妻が時を行き来できるという話を信じ始めていた。妻は未来にも行ったことがある、とも言っていた。自分の未来はどんなだった、と聞いたところはぐらかされていた。

自分の未来のいつに行ったのかしっかり聞いておけば良かった、と後悔していた。

花屋

娘と二人で花を買いに花屋に行った。バラやスイートピーなど沢山の花が展示されていてどれを買ったら良いか迷っていたが、妻が好きだったガーベラの花を手に取った。

ガーベラの花

ふと気配を感じて道路向かいの歩道を見たところ、妻が白いドレスでにこやかに手を振っていた。主人公は大粒の涙を流しながらガーベラの花を妻の方へ差し伸べるのだった。

主人公の妻は時を自由に行き来できる。過去にも未来にも自由に行ける。結婚して間もなくの頃、出勤しようとしていたところ妻が消えてしまい、探したところすぐに妻が現れた。このとき妻はガーベラの花を一輪持っていた。未来に行って未来の夫から花を貰い、そのとき自分が若くして死ぬことを知ったのだ。

主人公は妻の死後、再婚せず男手一つで娘を育ててきた。中学生になった娘と行った花屋で、過去から来た妻と会い、愛しい妻と会えたことで溢れる涙を抑えることができなかった。そして、妻にガーベラの花を一輪差し出した。

愛しい妻と花屋で会うことが出来て、涙を抑えられない主人公の心情には涙を誘われる。時を自由に行き来できるという幻想的なストーリーと20歳代前半の水野真紀の美しさが際立っていて、心に残るドラマである。

ドラマ「時の女神」

タイトルとURLをコピーしました